10年固定金利の危険性

住宅ローン 固定 変動

 

 住宅ローンの金利タイプには、皆さんご存知のとおり変動金利と固定金利があります。

 

 さらに、変動金利の中には、半年に1回適用金利の見直しがあるタイプと当初の一定期間のみ固定金利が適用される固定金利期間選択タイプがあります。

 

 固定金利期間選択タイプの期間には、2年、5年、10年といった種類があります。

 

 ここで、「あれっ!10年固定金利って変動金利なの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。

 

 10年固定金利の住宅ローンは、当初10年間は金利が固定されますが、10年経過する時点で、再度、期間固定金利を選択するか変動金利に移行するかの選択が行われます。

 

 ここで、再度10年間固定金利を選択すれば、その時点での基準金利をもとに次の10年間の金利が決まりますから、これを繰り返すことによって、10年毎に金利が変動する「変動金利」タイプの住宅ローンと言うことができます。

 

 また、10年経過時点で期間固定金利を選択しなかった場合は、自動的に変動金利へ移行してしまいます。

 

 超低金利の現在、10年後に今の金利水準を保っている可能性は低く、金利上昇の危険性をはらんでいると言っていいでしょう。

 

 その上昇幅がほとんど0に近いのか、あるいは1%、2%といった数値になるのかは誰も正確な予測などできません。

 

 それを踏まえた上で、それでも変動金利は怖いから、せめて10年間だけでも固定金利にしておこうという理由で10年固定を選択される方も多いことと思います。

 

 実際、鹿児島の銀行や不動産屋でも、この10年固定を勧めるケースが多いように思います。

 

 全期間固定金利のフラット35を選択すれば金利上昇の不安もなく安心なんですが、フラット35は金融機関や不動産屋からはあまり勧められませんから…

 

 (参考記事)フラット35が好まれない理由

金利1.3%が2.925%に

住宅ローン 10年固定金利 変動

 

 10年固定金利を選択すると、10年後の金利上昇が心配ですが、10年固定金利の危険性はそれだけではありません。

 

 同業のFPに聞いたお客様の相談事例

 

 住宅ローンを10年固定金利1.8%で組んだところ10年経過して金利が3.1%になったため借り換えの相談あり。

 

 明らかに10年前より市場金利は下がっているはずなのに、なぜ、そんなことが起きるんでしょう?

 

 と、私も不思議に思ったんですが、実は私の身近でもそんな事例がありました。

 

 それは何を隠そう、私自身の住宅ローンです。

 

 平成20年に金利1.95%で組んだ10年固定の住宅ローン(団信なしのプロパー融資)

 

 それを平成24に銀行と金利引き下げ交渉をし、変更契約という形で金利1.3%まで下げてもらいました。

 

 その際、固定期間が残り6年のところを5年固定にした方が金利が低くて済むということで5年固定にしました。

 

 それから5年後、再度 期間固定金利の手続きをすれば良かったんですが、これをしなかったため自動的に変動金利の適用になってしまったのです。

 

 当時、変動金利の適用になれば10年固定より下がって良さそうな気がしますが、実際に適用になった金利は、

 

 1.3% → 2.925%

 

 変更契約から5年が経過する時なんて、あまり意識してなかったので気づきませんでした。

 

 最近になって銀行に確認すると、5年が経過する月の4〜5か月前に通知がきていたはずとのことでした。

 

 でも、それが記憶にないんですよね。

 

 契約書を見ると、固定期間が終了する時に、再度期間固定金利を選択すれば、期間固定金利の基準金利から0.8%差し引くとなっていますが、選択しなければ新変動金利の基準金利が適用になると書いてあります。

 

 契約の時は、それがどのくらい高い金利になるか考えませんでしたが、上がってみてびっくりです。

 

 私の場合、当初借入時に退職金で完済するという約束がありましたから、5年固定が終了してから残り1年ちょっとしかなかったので影響も小さくて済みました。

 

 と言っても、月の返済額が6,000円ほど上がり、負担が増したのを実感しました。

 

【2020年9月26日 追記】

 

 銀行から5年が経過する前に、おそらく通知は来なかったものと思われます。

 

 その理由が分かりました。

 

 10年固定を選択した場合、10年経過した時点で残り借入期間が10年未満になると、10年固定は選択できません。
 5年固定又は2年間固定を選ぶこととなります。

 

 私の場合、5年固定を選択して5年経過した時点で残り借入期間が1年ちょっとでしたから2年固定も選べず、変動金利に移行せざるをえなかったということです。

 

 結果論ですが、5年固定を選択するよりも、2年固定を3回選択した方が、支払利息は圧倒的に少なくて済んだということになります。今更ですが…

 

 

10年固定金利から変動金利移行で金利アップのカラクリ

 今月(2020年4月)の鹿児島銀行の基準金利を見てみると

 

 固定金利選択型10年が 2.25%であるのに対し、変動金利は2.725%

 

 仮に、先月で固定期間10年が満了になる方が、その前に再度、10年固定を選択していれば、今月から2.25%−0.8%=1.45%が適用になります。

 

 これだけでも、現在の新規実行金利1.10%より高いですが、再度、10年固定を選択するという申し出を怠ると2.725%が適用になるというシステムです。

 

(注)鹿児島銀行の固定期間選択型は、再度、同じ固定期間を選択すれば0.8%優遇が、当初契約で確約されています。
   ただし、延滞がある場合などは、優遇の適用外になる場合がありますので注意が必要です。

 

 結構、怖いですよね。

 

 「今の金利は10年固定より変動の方が低いはずだから、別に変動金利が適用になってもいいじゃん。」と考えている人がいるかもしれません。

 

 変動金利が低いのは新規の実行金利の場合で、基準金利から大幅に引き下げられた優遇金利なわけです。

 

 ですから、最初に10年固定を選択すれば、最後まで10年固定を選択し続けないと、大幅に金利が上昇してしまうということになります。

 

 途中で、フラット35の金利を見ながら借り換えのチャンスをうかがうという手はありますが…

10年固定金利住宅ローンの危険性(まとめ)

 ・ 10年固定金利は、10年ごとに変動する変動金利

 

 ・ 最初に10年固定金利を選択すると、最後まで10年固定を選択しないと金利が一気にアップする。

 

 ・ 10年経過する前に必ず銀行に、再度、10年固定を選択することを申し出なければならない。 

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